感じるな!考えろ! ~理系が本気で釣りにハマったら~

山口県 県東の瀬戸内、山陰にてルアーフィッシング!たまに釣り、魚に関する論文や本を紹介します!

ブラックバスの環境への影響① 種の特徴や習性、拡散の歴史

謀テレビ番組等で悪の親玉のように目の敵にされることもありますが、釣りのターゲットとしては非常に人気のブラックバス

ブラックバスについて、調べたことを不定期の連載形式でまとめていきたいと思います。

※どちらかというと環境視点での記事になります

 

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目次

 

ブラックバスってどんな魚?

ブラックバスといっても日本には主に2種類がいます

オオクチバス(ラージマウスバス/フロリダバス) ※ここでは環境省表記に従い、フロリダバスはオオクチバスの1種としています

コクチバス(スモールマウスバス)

 

どちらも特定外来生物に指定されており、生体や卵の移動は禁止

県によってはリリースも禁止されているので、ご注意ください(下記リンク参照 但し2014年のデータになります)

キャッチ&リリース 禁止 – 公益財団法人 日本釣振興会

ブルーギルと並んで、外来魚としてとても有名ですね!

 

特定外来生物って?

人間活動によって持ち込まれた生物で、環境に与える影響が大きいと判断されたため、法律で飼育や生体や卵の移動が禁止されている生物です

アライグマやヨーロッパナマズ等も禁止されています!

罰則もあり、個人の場合300万円以下の罰金もしくは1年以下の懲役というかなり重い罪となります!!!!

罰則について | 日本の外来種対策 | 外来生物法

 

ブラックバスの特徴と習性

 なぜブラックバスは環境への影響が大きいのでしょうか?

・成長速度は産卵可能な30cmになるまでに3~5年と結構早め 

 その後はゆっくりになる模様

 

・最大で体長の半分くらいの大きさの餌まで食べる

淡水魚は小さいものが多かったり、大きくなる魚でも稚魚は食べられてしまいますね

 

・天敵が少ない

大きくなるのが早いので、食べられる事も少ないですね

大きくなるとカワウとかに食べられるか人に釣られたりしない限り寿命まで生きそうです

因みに他の餌が無くなるとブラックバス同士での共食いも起こるようです

 

コクチバスの方が危険

コクチバスの方が低水温や流れのはやい場所でも対応出来るため、渓流なんかへの食害が懸念されています。イワナやヤマメなどが減るかもしれませんよ!!

因みに、コクチバスの方が強いのか、オオクチバスと共存すると、コクチバスオオクチバスを駆逐することがあるみたいです。

 

ブラックバスは子育てする

  私は調べて初めて知りました。(バサー的には常識?

 オスが産卵場所を作り、メスがそこに卵を産み、稚魚がある程度育つまで面倒を見るそうです。そのため、産みっぱなしのほかの魚より稚魚の生存率が格段に高い。

つまり増えやすいってことですね。産卵数も大きいメス程多くなるようで、最大1万個を超えるようです

 

こちらもご参照下さい

特定外来生物の解説:オオクチバス [外来生物法]

特定外来生物の解説:コクチバス [外来生物法]

 

ブラックバス拡散の歴史(流入~昭和)

そもそものブラックバス原産国は北アメリカになります。

日本に入ってきたのは、1925年芦ノ湖に放流されたのが最初とされていますね

環境省(旧環境庁)による調査では、昭和53年の調査には記載がありませんが、昭和59年の調査(昭和63年の報告書)からブラックバス(オオクチバス)の記述があり

アメリカ原産の移入魚で、1925年 神奈川県芦ノ湖へ遊漁用に放流されて以来少しずつ国内の内水面で繁殖を始めた。主 に放流によるもので、福島-新潟県以南の各県に分布することが知られている。

 琉球列島からは報告がない。精査すれば本分布調査の回答データを上回る結果が推測できる魚類の1種である。近年は琵琶湖での繁殖が旺盛で在来種の食害 も多い。

出典:第三回自然環境保全基礎調査 動植物分布調査報告書 淡水魚類  P.235~236より(環境省生物多様性センター)

http://www.biodic.go.jp/reports2/3rd/ap_tansui/3_ap_tansui.pdf

 

 

との記述があり、平成に入る前にはすでに食害について環境省(旧環境庁)はすでに認識していたということですね!

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出典:第三回自然環境保全基礎調査 動植物分布調査報告書 淡水魚類  P.149より(環境省生物多様性センター)

http://www.biodic.go.jp/reports2/3rd/ap_tansui/3_ap_tansui.pdf

 

小さくて見にくいかもしれませんが、1986年(昭和61年)のブラックバス(オオクチバス)の分布となっています。

まだ全国各地とはいきませんが、関東~九州まで幅広く生息が確認されています。

この頃はちょうど日本初のバストーナメントが1985年に開催されバスフィッシングの人気が上がってきた辺りでしょうか?

また、上の引用にある通り、精査すればもっと件数は増えるであろう(具体的には福島、新潟より南の沖縄以外には分布している)と予測されている状況です。

(この時点で既に全国各地に生息しているという話もあります)

 

引用元:環境省 自然環境局による調査

基礎調査目次

 

ブラックバス拡散の歴史(平成~)

その後の調査報告書から抜粋したオオクチバス分布図になります 

1993年(平成5年)の分布情報

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出典:第4回自然環境保全基礎調査 動植物分布調査報告書 淡水魚類  P.198より(環境省生物多様性センター) 

http://www.biodic.go.jp/reports/4-05/4_ap_tansui.pdf

 

2002年(平成14年)の分布情報

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出典:第5回自然環境保全基礎調査 動物分布調査報告書 淡水魚類  P.226より(環境省生物多様性センター) 

http://www.biodic.go.jp/reports2/5th/ap_tansui/5_ap_tansui.pdf

2002年時点でもはや関東付近は真っ黒、北海道や沖縄にはドットがないですが、情報不足というだけで、居るとの認識みたいですね

完全にデータがそろっている場合のみの記載になるので、マップは参考程度になります。

 

1993年(平成5年)の報告時点で、北海道から沖縄まで分布していると記述もあり、全国各地ほとんどの淡水にいるとみたほうがいいかもしれませんね・・・

 

これらの分布拡大は、洪水等による拡散もあるかもしれませんが、殆ど人工的な移動によるものです

どう考えてもバスが関東から九州や北海道に勝手に行くわけ無いですね。隣の野池に行くことも繋がってなければ基本無理。

人工的移動には釣り人による個人的放流に加え、琵琶湖固有種等を全国各地に放流したりしていて、それに混じって拡散することもある模様

特に90年代後半にはバスフィッシングのブームがあったようなので、その際釣り人の放流で拡散した場所も多そうな気がしますね・・・

 

ところで、ブラックバスを拡散するのも良くないですが、特定水系の固有種を移動するのはどうなんでしょう?

放流された側の魚からすると、外来魚が来るのと変わらない気がするんですが・・・

第4回自然環境保全基礎調査 動植物分布調査報告書 淡水魚類 P.307には、ヤマメとアマゴが放流によって混ざり、競合しているとも書かれています

まあここではこの辺りで止めときましょう

とりあえず人間のエゴって怖い

 

おまけ:外来生物

環境省HP 外来生物法について

外来生物法 | 日本の外来種対策 | 外来生物法

特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律

施行:平成17年6月1日

比較的新しい法律ですね

内容的には上に書いたようなことがメインです

 

ただ、既に拡散しきってしまったオオクチバスには少し手遅れ感が・・・

せめて、コクチバスや新たな外来魚の拡散は食い止めたいところですね

 

また、環境省HPにはバスの防除についても書かれていますので、最後に紹介しておきます

https://www.env.go.jp/nature/intro/3control/files/shishin_bass.pdf

環境省HPより オオクチバス等に係る防除の指針 

こちらのリンク先をご確認下さい

 

とりあえず簡単に調べたことをまとめてみました

次はリリース禁止について各県や世界の動きとか、世界におけるバス被害とかを調べてみようかな?(次がいつになるか分かりません)

 

バス釣りがある日突然上手くなる (釣力UP!壁を破る超常識シリーズ)

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ブラックバス キーリング(GFA-351)

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バス釣り超思考法

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