感じるな!考えろ! ~理系が本気で釣りにハマったら~

山口県 県東の瀬戸内、山陰にてルアーフィッシング!たまに釣り、魚に関する論文や本を紹介します!

自己修復材料は釣り(ワーム)に使えるのか?

先日ボラ2シーバス2チヌ1を釣ったレブロスからシャリ音がし始めました。

やっぱある程度大物狙うと安いリールはだめかなと思い始めたしのぶです。

 

今回は今注目の素材 「自己修復材料」は釣りの「ワーム」に応用できるのか?

という話(ツイッターでやった話のまとめ+α)です



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比較的近い業種にいるので、軽くかじった程度ですが、出来るだけ簡単に解説してみようと思います。

少し前の情報ですし、1つの方式しか解説していません。

技術が進歩しもう解決済みの内容があったり、他の方式の場合違った答えになるかもしれないという点はご容赦ください。

 

 

目次

 

 

自己修復材料とは

インテリジェント材料の一種。鉄鋼材料やコンクリート、高分子などの構造材料において、損傷部を保護・自己修復できる機能を有する材料。

 コトバンクより引用

 自己修復材料(じこしゅうふくざいりょう)とは - コトバンク

名前の通り傷つくと傷が広がらないよう保護したり、傷が直ったりする凄いものってことですね

今回解説するのは高分子(ゴムや塗料等)の自己修復材料になります

 

 

自己修復材料の自己修復機構

超ざっくりです!

分かりやすくするため、簡略化していますので、厳密には違ったり足りなかったりしますが、ご容赦ください

興味無ければ飛ばしてOK(笑)

 

今回紹介するのは、『動的結合型』と呼ばれる方式になります

 

まず普通の物質(ゴム)から見ていきます

A B C Dの4個の分子が結合(実線)して出来ていると考えてください

分子同士が集まっているだけだとすぐ切れますが、こうやって結合することで、硬くなる訳です

 

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では自己修復材料はどうなっているか見ていきます

先ほどと同じように4つの分子から出来ているとすると、自己修復材料では普通の素材では全部結合していた部分が、ランダムに切れたり再結合したりを繰り返します。

 

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 このランダムに再結合をするという点がミソで、下の図中 左のように何らかの力でAが切れてしまった場合を考えます。

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普通の材料では切れてしまった部分は単に押しつけても、治ったりすることはありませんが、この材料では、ランダムな再結合が起こる際、Aも取り込まれて元の形に戻ります。

そのため、切れたり傷が入った部分が修復できるということです。

ちなみに、某有名アニメの魔神○ウやセ○のように切れた部分が生えてくるものではありませんので、ご注意ください

 

 

ワームへの応用とその問題点

切れた部分が直るなら、ワームに使えばめちゃくちゃ長持ちしそうですよね!

 

 原理通りに行けば

針に刺す時ミスって変な所に穴が開いたとか、魚がワームだけ引っ張って針穴が大きくなってズレてしまうとかが起こっても直るんです

 

画期的ですね!すごいですね!

 

でもちょっと待ってください。

 

私が思うに4つほど問題点があります

 

問題点1 価格

新素材というのは高いです。

例えば

自己修復ワーム1本5000円!!!

買いますか?

私は買いません笑

まぁ、これに関しては一般的な材料になってくれば、価格は安くなってくるので時間が解決してくれる・・・カモしれません(多分数年十数年では無理)

 

問題点2 保管のし難さ

先ほどの自己修復材料のモデルにおいて、同じ自己修復素材分子Eがやってきたとします。

そうすると、修復する時と同じようにランダムな再結合により取り込まれます。

 

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つまり、自己修復素材でできたワームを隣同士に置いたり、テールが輪になったりしたまま置いておくとそのままくっついてしまうということですね!

 

これに関しては、コーティングや2重構造にすることで解決可能ではありますが、コストアップに繋がりますし、コーティングや外層は自己修復できない点も注意が必要ですね。

 

問題点3 汚れ

海で使うワームなので汚れが付着します。

乾かすと塩等も出てくるでしょう

これらが傷面にあると、修復を邪魔すると思われるので、傷を直すためにはしっかり洗う必要があります。

再利用の為に、使ったワーム洗いますかね?

 

問題点4 強度

一般的に結合が強く、数が多いほど硬く、強くなります

これは推測ですが、ランダムに結合が切れる自己修復素材は一般的な素材に比べて弱い可能性があります。

つまり、自己修復素材で作ると、切れても直るけど切れやすいワームになる可能性が高い・・・

多分切れにくいワームでいいやってなります

月○美人とかですね

 

 

以上4点から技術の進歩で解決できるかもしれませんが、正直ワームで使うのは難しいんじゃないかなというのが私の見解です。

 

 

その他釣り関係への応用可能性

「じゃ使えないじゃん」というのは早計かと思います。

色々書きましたが、素材自体はスゴイもので、面白い素材だと思います。

 

ワームという消耗品には向かないというだけ。

 

例えばウェーダーならどうでしょうか?

ピンホールで浸水したとかよく聞きますけど、自己修復材料を挟んだウェーダーがあれば、水洗いしておくだけでピンホールが直るとかできるかもしれません。

 

ここではゴムの話メインで進めましたが、塗料分野でも注目されていますので、レインのコーティングに使用すれば、撥水性が長持ちするかもしれません。

 

リールやロッドの塗料に使用したら、ちょっとのすり傷は直るものができるかも?!

 

こんな風に考えると早く実用化されないかな?とワクワクしてきませんか?